遺言書の法律用語
遺言書作成の際に、分からない法律用語が出てきましたら参考にしてください。
あ行
遺言(いごん)
ゆいごん(遺言)に同じ。(「ゆいごん」の法律上の読み方)人が自分の死後に効力を生ぜしめる目的で一定の方式によってなす単独の意思表示。
遺言執行者(いごんしっこうしゃ)
遺言の内容を実現するために、一定の行為を行う職務および権限をもつ者。遺言者が指定するか、家庭裁判所が選任する。
遺言能力(いごんのうりょく)
遺言を単独で有効に行うことのできる資格。遺言を有効に行うには意思能力があればよく、行為能力は必要ではない。民法は、満15歳に達すれば遺言能力があるとしている。
遺産(いさん)
死んだ人の残した財産。所有権・債権などのほか、債務も含まれる。
遺産分割(いさんぶんかつ)
相続人が複数あって、遺産が共有となっている場合に、相続人間で遺産を分配し各相続人の単独財産にすること。
意思能力(いしのうりょく)
自分の行為の性質や結果を判断することのできる精神的能力。幼児・精神病者・泥酔者などは意思能力がないものとされ、その者のなした法律行為は無効であり、不法行為の責任も負わない。
遺贈(いぞう)
遺言によって財産を他人に与えること。
一身専属権(いっしんせんぞくけん)
被相続人その人にだけ帰属し、相続人に帰属することができない性質のもの。
遺留分(いりゅうぶん)
一定の相続人のために、法律上必ず残しておかなければならない遺産の一定部分。これを受ける権利のある者は、被相続人の直系尊属・直系卑属および配偶者であり、兄弟姉妹にはその権利はない。
遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)
遺留分について侵害された分の支払を求めてする請求。
姻族(いんぞく)
本人または血族の婚姻によってつながる人々。姻戚。
か行
瑕疵(かし)
法的に何らかの欠陥・欠点のあること。
共同相続(きょうどうそうぞく)
二人以上の相続人が共同して財産を相続すること。
強迫(きょうはく)
民法上、相手に害悪が生じる旨を知らせて畏怖心を起こさせ、自由な意思決定を妨げること。強迫による意思表示は取り消すことができ、強迫によって受けた損害は賠償を求めることができる。
共有(きょうゆう)
共同所有の一形態。複数の者が同一物の所有権を量的に分有すること。
寄与分(きよぶん)
遺産の共同相続人中、労務提供・財産給付・療養看護など被相続人の財産の維持・増加に特別に寄与した者に付加される相続分。
契印(けいいん)
二枚以上の書類がつながって、一つの文書を構成していることを証明するために二つの用紙にまたがって押された印。署名の末尾に押した印と同じ印を押す。
欠格(けっかく)
相続人の地位を有する者であっても、一定の重大な事情が存するため法律上当然に相続人たる資格を失うこと。
血族(けつぞく)
血縁によってつながる人々。法律上は、養親子関係にある者(法定血族)を含む。
検認(けんにん)
家庭裁判所が、偽造・変造を防ぐため遺言書の存在および内容について調査する手続き。
限定承認(げんていしょうにん)
相続により承継する債務が、相続で得る財産より多い(負債超過)ときには、その財産で弁済しうる分だけを弁済する、という留保を付けた相続の承認。限定相続。
権利能力(けんりのうりょく)
私法上、権利および義務の主体たりうる資格。自然人と法人に認められる。
行為能力(こういのうりょく)
民法上、有効な法律行為を単独でなしうる能力。
交換(こうかん)
民法上、当事者が互いに金銭以外の財産の所有権の移転をなすという契約。
後見監督人(こうけんかんとくにん)
後見人を監督する機関。後見人と被後見人の利益が相反するときは、被後見人を代表しうる。
後見人(こうけんにん)
親権者のいない未成年者、および成年被後見人を補佐・保護し、その財産を管理する者。
公証人(こうしょうにん)
私権に関する公正証書を作ったり、私署証書に認証を与えるなどの権限をもつ公務員。
公証役場(こうしょうやくば)
公正証書の作成、私文書の認証、確定日付の付与等を行う官公庁。各法務局・地方法務局が所管し、公証人が執務する。
公序良俗(こうじょりょうぞく)
公の秩序と善良の風俗。社会的妥当性が認められる道徳観。民法上、これに反する内容をもつ法律行為、例えば犯罪を行うことを内容とする契約などは無効とされる。
固定資産税(こていしさんぜい)
土地・家屋・償却資産に対して課される物税。
さ行
財産分離(ざいさんぶんり)
相続債権者・受遺者・相続人の固有の債権者らの請求により、相続財産と相続人の固有の財産を分離して管理・清算する財産上の処分。
死因贈与(しいんぞうよ)
贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与契約。
実印(じついん)
あらかじめ居住地の市区町村長に登録し、必要に応じて印鑑証明を求めることができる個人の印章。一人一個に限られる。
執行力(しっこうりょく)
判決に基づき強制執行できる効力。広く判決に確定された内容を実現できる効力。
受遺者(じゅいしゃ)
遺言によって財産を受け取る者。受遺者は受け取った財産を放棄することができる。
準婚(じゅんこん)
実質的に婚姻関係にありながら、法的に婚姻成立の要件の一部を欠くために、婚姻に準じて扱われる男女関係。婚姻の効果の大半が付与される。
使用貸借(しようたいしゃく)
他人の物を借りて無償で使用収益した後にその物を返還する契約。
親族(しんぞく)
民法上、六親等内の血族と配偶者、三親等内の姻族をいう。
推定相続人(すいていそうぞくにん)
現状のままで相続が開始されれば直ちに相続人となるはずの者。
正本(せいほん)
権限のある者によって原本に基づき作成され、原本と同一の効力を有する謄本。転写または副書されたものの原本。
成年被後見人(せいねんひこうけんにん)
行為の結果を認識するに足りるだけの精神能力を欠くのを普通の状態としている者。
責任能力(せきにんのうりょく)
行為者が自己の行為の法律上の責任を弁別しうる能力。刑法上、14歳未満の者はこの能力がないとされる。
相続(そうぞく)
死者が生前にもっていた財産上の権利・義務を配偶者・子などの親族が包括的に承継すること。
相続権(そうぞくけん)
相続人のもつ相続財産についての法律上の権利。
相続税(そうぞくぜい)
相続・遺贈・死因贈与により、財産を取得した個人に課せられる国税。
相続人(そうぞくにん)
被相続人の死亡により、その財産を承継する者。
相続放棄(そうぞくほうき)
相続開始後、相続人によってなされる相続拒否の意思表示。3ヶ月以内に家庭裁判所にその旨を申し出ることが必要。
贈与(ぞうよ)
当事者の一方が無償で自己の財産を相手方に与える意思を表示し、相手方がこれを受諾することによって成立する契約。
贈与税(ぞうよぜい)
贈与により財産を取得した個人に課せられる国税。
た行
代襲相続(だいしゅうそうぞく)
相続人が相続の開始以前に死亡・廃除・相続欠格により相続権を失った場合、その者の直系卑属が代わって相続すること。
単純承認(たんじゅんしょうにん)
財産も債務もすべて承継する、という無条件の相続の承認。相続人は、被相続人の債務についても無限責任を負うことになる。単純相続。
嫡出子(ちゃくしゅつし)
法律上の婚姻関係男女の間に生まれた子。
直系尊属(ちょっけいそんぞく)
本人の実父母・実祖父母・実曽祖父母など。
直系卑属(ちょっけいひぞく)
本人の子・孫・ひ孫など。
同時死亡の推定(どうじしぼうのすいてい)
複数の死亡者間における死亡時間の前後が不明な時は、同時に死亡したものと推定すること。相続にまつわる混乱を避けるためのもの。同死の推定。
謄本(とうほん)
原本の内容をそのまま全部写しとった文書。
特定遺贈(とくていいぞう)
特定の財産を与える遺贈。
特別縁故者(とくべつえんこしゃ)
被相続人と生計を同一にしていた者や被相続人の療養看護に努めた者など被相続人と特別の関係があった者で、相続人が存在しない場合に、請求により相続財産の分与を受けることができる者。
特別受益(とくべつじゅえき)
共同相続人のうちの誰かが、被相続人から遺贈を受けたり、婚姻・養子縁組のため贈与を受けたり、生計の資本として贈与を受けること。
特別養子縁組(とくべつようしえんぐみ)
養子縁組において、養子と実方の父母および血族との親族関係を法律上終了させる縁組。原則として6歳未満の子について、子の利益のために特に必要があると認められる場合など一定の要件の下に、家庭裁判所の審判により成立する。
取消し(とりけし)
効力を発した意思表示・法律行為に瑕疵がある場合、当事者など特定の権利を有する者の意思表示により、その効力を無効にすること。
取消権(とりけしけん)
法律に定められた一定の事由に基づいて、特定の者が取り消しの意思表示をなしうる権利。
な行
内縁(ないえん)
実質的には夫婦関係にありながら、婚姻の届出をしていないために法律上の夫婦とは認められない男女関係。準婚として法律上の婚姻に準じて扱われる。
内容証明(ないようしょうめい)
郵便物の特殊取扱の一つ。郵便物の内容(文書・日付・差出人・あて先)を謄本で証明するもの。内容を後日の証拠として残しておく必要のあるときに利用される。
認知(にんち)
法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子を、親が戸籍法の手続によって、自分の子と認めること。自発的に行うことを任意認知、裁判による場合を強制認知という。
は行
廃除(はいじょ)
被相続人の請求に基づき、家庭裁判所の審判によって、被相続人を虐待したり、非行のあった推定相続人の相続権を剥奪すること。廃除できるのは、推定相続人のうち、配偶者・子・直系尊属・代襲相続人に限られる。
被相続人(ひそうぞくにん)
相続人が相続する財産や権利義務のもとの所有者。
非嫡出子(ひちゃくしゅつし)
法律上の婚姻関係にない男女の間から生まれた子。
不法行為(ふほうこうい)
故意または過失によって他人の権利を侵害し損害を発生させる行為。加害者はその損害の賠償責任を負う。
扶養義務(ふようぎむ)
法律上、一定範囲内の親族が相互に負っている生活保障の義務。
包括遺贈(ほうかついぞう)
遺産の全体またはその何分の一というように、財産を特定せずに一括して与える遺贈。
法定相続分(ほうていそうぞくぶん)
民法の規定により定められている相続分。被相続人が遺言により相続分を指定しない場合または第三者に相続分を定めることを委託しない場合に適用される。
保佐人(ほさにん)
精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者。
補助人(ほじょにん)
精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者。
ま行
未成年後見(みせいねんこうけん)
未成年者に対して親権を行う者がいないとき、または親権者が管理権を有しないときに開始する未成年者に対する後見。
身分権(みぶんけん)
親族関係における地位に基づいて与えられる権利の総称。親族権のほか、相続権を含めていうことがある。
身分行為(みぶんこうい)
婚姻・離婚・養子縁組・離縁など、身分の取得・変動を生ずる法律行為。
無効(むこう)
法律行為がその効力発生に必要な要件を欠くために、意図した法律効果が発生しないこと。
や行
養子縁組(ようしえんぐみ)
血統においては親子でない者の間に、法律上、実の親子と同じ関係を成立させる行為。
要式行為(ようしきこうい)
婚姻・縁組などのように、法規の定めた一定の方式に従って行わなければ不成立または無効となる法律行為。
ら行
利益相反行為(りえきそうはんこうい)
当事者の間で利益が相反することになる法律行為。後見人が被後見人から財産を譲り受ける場合など。法は公正の見地から、一方が他方を代理すること、一人が双方を代理することを禁ずる。
路線価(ろせんか)
国税庁が相続税や贈与税を課する際の基準として設定した、市街地の道路に面した土地の評価額。
わ行
和解(わかい)
民事上の紛争で、紛争当事者が互いに譲歩しあってその争いをやめること。当事者の契約による裁判外の和解と、確定判決と同一の効力を持つ裁判所により行われる裁判上の和解がある。
割印(わりいん)
通常、契約書などは二通作成され、一通ずつ各当事者が保管します。この二枚の書類の同一性・関連性を証明するため、二つの文書に一個の印を半分ずつ押すことをいいます。領収証とその発行控との間に押したりもします。