作り方

遺言書の作り方

 

自筆証書遺言の書き方と公正証書遺言の作成方法を実際に見ていきましょう。

これで困らない!自分でできる遺言書

自筆証書遺言をつくろう

①道具を準備しよう
  • 用紙は、破れにくい厚みのあるものを使用し、長期間の保存に適したものを選びましょう。
  • 筆記用具は、黒や紺など濃い色のボールペン・万年筆・筆を使いましょう。水性ペン・鉛筆などは消えやすいので避けましょう。
  • 封筒は、中身が透けないものを選びましょう。
②ポイントチェック
  • 全部の文章を自分で書きましょう。縦書き・横書きはどちらでもかまいません。
  • 正確な日付を書きましょう。
  • 名前は、戸籍上の姓名を書きましょう。
  • 同姓同名の人がいる可能性もあるので、住所を書きましょう。
  • 署名の下(横書きなら右)に実印を押しましょう。
  • 複数枚になるときは、ホチキスどめをして用紙の角にページ番号(1/2、2/2など)を書き、ページの境目に実印を押しましょう(契印、割印)。
③訂正の仕方
  • 訂正部分に二重線を引き、その脇に正しい文字を書きましょう。
  • 訂正部分に、署名のときと同じ印鑑で押印しましょう。
  • 遺言書の余白に、どの部分をどのように訂正・変更したかを付記し、その部分に署名します。例:「本行第◯字目を◯◯に変更する 遺言太郎」
④封印の仕方
  • 遺言書を封筒に入れてのり付けをしたら、その部分に遺言書に押したものと同じ印鑑を押しましょう。
  • 封筒の表側に「遺言書」と書き、裏側に「本遺言書は私の死後、遅滞なく家庭裁判所に提出してください」と書いて、日付と署名を自署してから押印します。
⑤保管しよう
  • 保管場所は、金庫や仏壇、タンスや机の引き出しなど、遺族が発見しやすい場所にしましょう。
  • 自筆証書遺言をつくったことを、配偶者など身近な人には知らせておきましょう。
  • 貸金庫に預ける場合は、本人以外の人が金庫を開けられるように生前に手続をしておきましょう。
⑥実行しよう(検認を受けよう)
  • 遺言書は勝手に開けない(最高5万円の過料)
    開封してしまっても、遺言書はそのことによって無効にはなりません。
    また、封印されていなくても、そのままでは遺言の内容が実行できないので、家庭裁判所の検認が必要です。
  • 家庭裁判所で検認を受ける(通常1~2か月程度かかる)
    遺言者の除籍謄本や相続人の戸籍謄本、住民票、遺言者の自筆書類(手紙など)を持参しましょう。
  • 遺言書が無効なら相続人全員で遺産分割協議を行うことになりますが、有効なら遺言に基づいて遺産を分割し、不動産や預貯金の名義変更手続を行います。

さて、自筆証書遺言のつくり方はこれで終了です。

自筆証書遺言は最終的に無効になると、遺言書の内容を実現することができなくなるので、できれば封印をする前に、専門家のチェックを受けることをおすすめします。

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公正証書遺言をつくろう

①証人を探そう
  • 証人は2人必要です。信頼できる友人や親戚に頼んでみましょう。ただし、未成年者、将来相続人となる人、その人の配偶者や直系血族、受遺者、公証人の利害関係人は証人になれません。
  • 証人になる人には、遺言書の内容が知られてしまうので、慎重に探しましょう。適当な人がいなければ、公証役場で証人を紹介してもらえます。(紹介料は、1万円が相場)
②公証人と打ち合わせをしよう
  • 近所の公証役場を訪問し、受付で遺言書をつくたいことを伝えましょう。事前に電話で確認をとるとよいでしょう。(受付時間は平日の9時~17時)
  • その際には、遺言者の印鑑証明書と、その他遺言書の作成に必要な書類を持参しましょう。書類が不足した場合は自分で取り寄せる必要があります。
  • 公証人にどんな遺言にしたいのかを説明し、公正証書遺言の作成日時と更に打ち合わせが必要な場合は打ち合わせ日時を決めます。
  • 打ち合わせは遺言者本人ではなく、第三者が行うことも可能です。平日仕事で忙しい人は、専門家に頼みましょう。
③作成当日
  • 当日は証人2人と公証役場に行きましょう。
    持参するものとして、遺言者の実印、証人の認印、身分証明書、現金
  • 公証人が遺言書の内容を読み上げ、遺言者と証人が内容を確認し、間違いがあればその場で訂正します。
  • 全て確認し終わったら、公証人・遺言者・証人2人の全員が遺言書に署名押印します。
  • 最後に、公正証書遺言の正本と謄本をもらいます。
④公正証書遺言の作成費用
  • 公証人手数料
    目的の価格 手数料
    100万円まで 5000円
    200万円まで 7000円
    500万円まで 1万1000円
    1000万円まで 1万7000円
    3000万円まで 2万3000円
    5000万円まで 2万9000円
    1億円まで 4万3000円
    3億円まで 5000万円ごとに1万3000円加算
    10億円まで 5000万円ごとに1万1000円加算
    10億円超 5000万円ごとに8000円加算
  • 遺言手数料…相続財産が1億円未満のとき支払います。相続人の数は関係ありません。
  • 用紙代…遺言書の枚数によって金額が変わります。1枚あたり250円で、標準的なケースでは合計3000円ぐらいになります。
⑤実行しよう
  • 遺言書が封印してある場合は、遺族はすぐに開封して中身を確認しましょう。(家庭裁判所の検認を受ける必要はありません)
  • 指定された相続人や遺言執行者は金融機関や法務局に遺言書の原本を持参して手続を行いましょう。

これで、公正証書遺言のつくり方も終了です。

「手軽につくれる自筆証書遺言」「安全確実な公正証書遺言」のどちらを利用するかは、財産内容や相続関係、その他いろいろな事情で変わってくるでしょう。

いずれにせよ、まずはつくりはじめることが大切です。

遺言書の作り方で、分からないことが出てきましたら、サポートコーナーのメール相談にてお気軽にご相談ください。